内容説明
1939年夏に勃発した満洲国(日本)とモンゴル人民共和国(ソ連)間の国境紛争。その戦史を紐解くと、現代日本の政官界の「改竄」「抹消」「隠蔽」の原型を見ることができる。まさに「歴史は現在と過去の対話」(E・H・カー)である。
目次
第1話 ノモンハン戦の勝敗
第2話 張鼓峯事件と第一次ノモンハン戦
第3話 日本軍のノモンハン戦敗因
第4話 ソ蒙軍の八月大攻勢と関東軍の九月反攻構想
第5話 政治粛清とジューコフ
第6話 モンゴル族兵士たちのハルハ川戦
第7話 欺瞞のノモンハン報道
第8話 欺瞞の戦後処理
第9話 ハルハ川の主戦場と戦跡
第10話 ハルハ川戦勝記念
終話 ウクライナ紛争に問題提起
著者等紹介
佐々木健悦[ササキケンエツ]
モンゴル研究家。1947年、宮城県志田郡三本木町(現・大崎市三本木)に生まれる。東京外国語大学モンゴル語学科を卒業、同大ロシア語学科に学士入学在籍、その後、千葉県下の高校で英語教員。2008年3月退職。同年4月からモンゴル国の大学で、約1年間、日本語教師を務めた。その後、ウランバートル市の『モンソダル』社でモンゴル語日本語辞典の編纂に携わった。2010年7月からモンゴル国営モンツァメ通信社に勤務し、日本語週刊紙『モンゴル通信』の編集翻訳と日本語監修に従事、2012年8月退職。「消される記憶遺産―モンゴル抑留吉村隊『暁に祈る』事件」で第7回石橋湛山平和賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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skunk_c
59
ノモンハン戦について知りたければ、他書から入ることを薦める。「読み解く」というのだから様々な先駆的業績を丹念に批判的に書いてあるのかと期待したが、そういう面がないわけではないが不十分だしやや恣意的な書き方も感じた。数字の扱いが極めて雑(例えば日本兵の死傷者が傷病者込みで1万8千人とあった少し後に戦死者1万8千人とあり、いずれも根拠史料はあげられずじまい)で、内容の重複も目立つ。モンゴル在住だったときがあるのでモンゴル側から見たノモンハンについては面白い面もあったが、田中克彦の著作の方が優れていると思う。2024/03/26
Toska
9
出版は2022年12月と新しい。にも拘らず、「日本兵は火炎瓶で戦車に立ち向かった」「ソ連軍は戦車に兵隊を縛りつけていた」「三八式歩兵銃は第23師団でしか使われていない旧式の銃」等々、古い謬見や先行書の誤りがそのまま繰り返されている。ジューコフへの評価には悪意が感じられ、しかもロバーツのジューコフ伝すら読んでいないらしい。誤字脱字も目立ち(何箇所かで「小松原」が「小笠原」になっている)、かなり雑な仕事という印象。2024/03/09
鉄鍋
2
かなり、著者の独善的解釈による嫌いがあるかもしれないがよく研究されて事実を丁寧に探っている点は認める。安倍元首相の国葬やウクライナ紛争のプーチン批判などは確かに納得するし間違っていない。日本国における事実を事実として公開しない戦争や政治倫理は戦後今なおかつ未来も変わらないのだろうか?石破新首相に期待したいものだ。2024/09/30
takao
2
ふむ2023/02/16