内容説明
2005年5月、ベルリンの壁解体後の広大な空間に「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」が建てられた。しかしそれは最初から激しい論争の中にあった。なぜ「ユダヤ人」だけが記念されねばならないのか、なぜその場所なのか、なぜモニュメントなのか…。厖大な資料から多規にわたる論争が浮上させた問題群を解読。
目次
1 記念碑論争の経緯と諸問題(記念碑論争の前史;記念碑建設運動の始まり;「ベルリンの壁」の崩壊(一九八九年十一月九日)とドイツ統一による論争の転換
記念碑芸術コンペ
コンペ「挫折」後の展開(一九九八年~)
連邦議会の議決に向かって
連邦議会の記念碑建設決議)
2 記念碑の根本的問題―想起の本質とその機能(想起の主体―共同想起と国家アイデンティティー;想起の客体―犠牲者と加害者;想起の方法―記念碑の限界;想起と芸術―ホロコーストの表現(不)可能性)
3 記念碑の実現(記念碑建設工事開始まで;記念碑建設工事の中断と再開―ドイツ企業の戦争責任;「情報の場所」の設立;完成した記念碑とその問題;共同想起に関わる現在の問題)
著者等紹介
米沢薫[ヨネザワカオル]
立教大学文学部キリスト教学科卒業、同大学院文学研究科組織神学専攻、修士課程修了。同博士課程中退。1991年渡独。ベルリン・フンボルト大学で社会学、政治学を学ぶ。元ドイツ学術振興会(DFG)研究員。現フンボルト大学日本文化研究センター研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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