内容説明
指紋押捺制度と外国人登録証常時携帯義務の廃止を求めて、民団傘下の青年会に所属する五人の若者が指紋押捺を集団で拒否してから四〇年が経過しました。幅広い市民運動によって、永住者と特別永住者の指紋押捺は廃止されましたが、アメリカの同時多発テロを契機に指紋押捺制度は復活し、特別永住者を除いて押捺が強制されています。そして二〇二四年六月、税金滞納などで永住資格を剥奪できるとする「入管法」改正案が成立しました。当事者個々の自主的な押捺拒否と広範な支援運動にはどのような意義があり、それがもたらしたものは何か。この冊子は制度と日本の排外主義をあらためて問い直す集会の報告集です。
目次
第1部 元指紋押捺拒否者の発言(日本縦断自転車隊―地元の民団のやる気を引き出し、署名活動の成果が上がった 林三鎬(イム・サモ)元民団中央副団長
中学三年生、一四歳で指紋押捺に直面―ちょっと消化しきれていないことも… 辛仁夏(シン・イナ)元指紋押捺拒否者
婦人会 ジュネーブから国連本部へ―民団中央からの制約はねのけ 河榮希(ハ・ヨンヒ)元婦人会中央副会長 ほか)
第2部 拒否運動 研究者の報告(反外登法運動のユニークさに関心と共感―フランシス・フォックス・ピヴェンの理論に基づき 金由地(キム・ユジ)同志社大学大学院生)
第3部 運動現場からの報告と提言(自治体職員、実名びっしりの抗議ビラ―葉っぱをむしれば巨木も枯れる 水野精之 元区役所職員;税金滞納で永住資格剥奪は四〇年前の悪夢―資格制度の恩恵ではなく、権利のための闘いを 朴容福(パク・ヨンボク)元指紋押捺拒否予定者会議
指紋押捺拒否で再入国不許可の存在―希望を語り合う場をつくりたい 崔善愛(チェ・ソンエ)ピアニスト ほか)