内容説明
朝日新聞の慰安婦報道をめぐる裁判は右派原告の全面敗訴となった。だが植村隆さんによる名誉毀損の訴えは、被告が事実誤認を認めたにもかかわらず敗訴が確定した。徴用工裁判は加害企業の資産現金化が具体化し、ますます混迷の度を深めている。ネットを開けばデマと差別が拡散し、ヘイトスピーチは街頭から人々の生活へと広く深く潜行している。2012年12月の第二次安倍内閣の成立からそれは始まった。収録した3つの講演から浮かび上がるのは、日本社会に右傾化と分断をもたらした安倍政治の弊害と、これを引き継ぐ菅内閣の危うい姿である。
目次
第1講 朝日新聞の慰安婦報道と裁判―背後にある安倍政権下の社会変化
第2講 平行線をたどる徴用工裁判―日韓請求権協定の解説と問題提起
第3講 差別と偏見の現場取材―ネトウヨの台頭とヘイトスピーチ拡散の因果関係
著者等紹介
北野隆一[キタノリュウイチ]
1967年、岐阜県高山市生まれ。90年東京大学法学部卒業、朝日新聞社入社。新潟、延岡、北九州、熊本をへて東京社会部次長を務め、2014年から編集委員。皇室、北朝鮮拉致問題、部落問題、ハンセン病、水俣病などを取材。ヘイトスピーチの記事で2020年の「メディア・アンビシャス大賞」を受賞
殷勇基[インユウキ]
弁護士
安田浩一[ヤスダコウイチ]
1964年、静岡県生まれ。「週刊宝石」「サンデー毎日」記者を経て2001年よりフリー。事件・社会問題を主なテーマに執筆活動を続ける。『ネットと愛国』(講談社)で2012年第34回講談社ノンフィクション賞を受賞。「ルポ外国人『隷属』労働者」(「G2」vol.17)で2015年大宅壮一ノンフィクション賞雑誌部門受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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