内容説明
吟遊詩人が語る不思議な楽器リュートの歴史。そこから浮かび上がる、ヨーロッパ中世・ルネサンスの風景。
目次
第1話 珈琲とカフェの文化史(吟遊詩人が小さな村を訪れる。;吟遊詩人は、不思議な楽器で「グリーンスリーブス」を奏でる。 ほか)
第2話 吟遊詩人の歴史(土曜日の朝―スナフキンの名前。;吟遊詩人は実在したのか?―ハリー・ポッターとケルト。 ほか)
第3話 中世のリュート(フランス文学と日曜日の朝。;吟遊詩人は、小学校の先生の前で、リュートを奏でる。 ほか)
第4話 ルネサンスの理想郷(ハチミツトーストの朝。;ルネサンスは知の夜明け―芸術の誕生。 ほか)
エピローグ 珈琲と吟遊詩人(エキゾチックな珈琲―世界中を遍歴する異邦人。;O・ヘンリーの『警官と賛美歌』―人間の運命を愛すること。 ほか)
著者等紹介
木村洋平[キムラヨウヘイ]
1983年生まれ。翻訳家、作家、アイデア・ライター。東京大学教養学部基礎科学科(科学史・科学哲学)卒業。和光大学大学院社会文化総合研究科修了。関心領域は珈琲、カフェ、童話、絵本、思想、文学、絵画、クラシック音楽(古典~現代音楽)、旅、俳句など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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兎乃
33
西洋史学の教授で 長く大学で教鞭を執り 退官後静かに暮らす祖父。その祖父のために丁寧に珈琲を淹れる僕。僕は英文学を専攻している。やわらかな春風が吹く頃 吟遊詩人が訪れる。本書を小説なのかエッセイなのかと訊ねられたら 私は"弦楽四重奏"と答えたい。蘊蓄の羅列ではなく、珈琲とカフェ文化・音楽と文学・リュートを窓にして語られる中世ルネサンスの世界観、柔らかで静かで穏やかな会話がそこに在り、一杯の珈琲とともに自分もそこで吟遊詩人の音や声を楽しんだ。静謐でエレガントな知性が風のように流れる一冊。ご賞味あれ。→ 2013/04/07
sankichineko
15
リュートと吟遊詩人をテーマに、広く浅く、軽やかに話が飛ぶ、この雰囲気は悪くないです。通勤時間に読むのにちょうど良い。ただ、第四話「ルネサンスの理想郷」は、ちょっと風呂敷を広げすぎちゃったような。それから、エピローグに書かれた「現代の吟遊詩人」は、一歩間違うとただのニートになってしまうかと。本気で覚悟を決めて取り組むなら、格好良いですけどね。野垂れ死にしても本望くらいの覚悟なら。2015/07/13
鳩羽
4
「僕」の家に「祖父」を訪ねてきた「吟遊詩人」、そこに僕の憧れのガールフレンドでもある「小学校の先生」も加わったりして、おいしい珈琲やお茶を飲みながらおしゃべりをする。その話題はカフェの歴史からリュート、中世の世界観のなかで吟遊詩人が果たした役割についてと様々。物語のようなエッセイのような、遠いところまで出かけて行って、気づくとまたテーブルに戻ってきている。そんなカップ一杯分の、ほどよい緊張感と知識が供される本だった。2014/03/14
碧月
3
大学生の「僕」と西洋史学の元教授の「祖父」、「吟遊詩人」さん、そして憧れの「小学校の先生」。4人の対話から、珈琲のこと、吟遊詩人の歴史、中世ルネサンスの思想、文学にまで広がる。読みやすいのに、深く、さまざまな知識を得ることが出来ました。参考文献も面白そうです。リュートのCD聞きたい。意外だったこと;スナフキンの本名はスヌスムムリク。2012/10/16
きこり
3
珈琲と喫茶店、吟遊詩人、リュート、ルネサンスにかかわる文化史を親しみやすい対話形式で著した本。吟遊詩人の歴史に関する章がとても興味深く、面白かった。さまざまな本の名が上がり、広がりを持つ良い本だと感じた。2012/02/17