内容説明
前衛主義の破産が告げられた現代においてこそ、マルクスが展望した「政治的規制を端的に廃棄する自律(アウトノミー)」の地平における人間的自由の思想が甦る。1968年世界同時叛乱におけるラディカルな「自主管理」(オートジェスチオン)の思想を継承したコミュニズムの胎動が、21世紀の世界で現実化しはじめた。
目次
ラディカルな共同性への討究―特異性と共産主義についてのガタリ+ネグリの言説
第1部 反前衛主義と自己否定論の復権(一九六八年“自主管理”の思想と反権力主義;レーニン前衛党組織論と反前衛主義;疎外論の限界と自己否定論としての物象化論)
第2部 資本主義と物象化―国家批判(資本の専制―賃金奴隷制と資本の労働処分権;資本の物象化とブルジョア・アトミズムの形成―三位一体的範式による階級関係の隠蔽;物象化としての国家とラディカルな共同体の論理)
第3部 エントロピー概念とグローバル工業化社会―環境問題と階級意識(原油価格の投機的高騰と地球環境危機;環境問題は資本主義工業化社会そのものの問題である;グローバル工業化社会=環境破壊の諸現象の共通分母 ほか)
人間的共同体としてのコミュニズム
著者等紹介
渋谷要[シブヤカナメ]
1955年京都生まれ。政治思想研究。「季刊クライシス」編集委員(1984~1990年終刊)。季刊「理論戦線」、「理戦」の編集などにかかわる(1990年以降、2001年まで)。その間、駿台予備学校論文科採点講師(1991~1994年)。新左翼系運動での理論活動を展開してきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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