内容説明
「前衛―大衆」図式を超えようとする廣松渉の問題意識と、ネグリの「マルチチュード」(多数多様性)概念とは親和性を持っている。戦争国家へと結果した社会契約国家における「国家=運命共同体イデオロギー」の機制を解明し、それを超えていくための論考。
目次
民衆的マルチカルチャリズムへ
第1部 廣松哲学と近代国家論(近代国家と主権形態―コナトスと社会契約の物語;廣松渉の国家論と多元主義―社会的価値体系としての国家;アトミズムと市民社会―競争・差別・搾取の共同連関)
第2部 日本ナショナリズムと共同体(国家共同体の「物語」―天皇制ナショナリズムと全体主義;京都学派の資本主義批判―「日本の帝国主義はそのままに(批判せず)」帝国主義を欧米独自のシステムとして実体化
「日中を軸とした東亜の新体制を」論―廣松渉の「東北アジアが歴史の主役に」のエッセイをめぐって
日本の朝鮮侵略と排外主義)
第3部 人間的自由の共同性に向けて(グローバリゼーションと軍事同盟―経済的利害対立の軍事力によるコントロール;「環境的主権」の確立を―エコロジカル・ソシアリズムの論理)
著者等紹介
渋谷要[シブヤカナメ]
1955年京都生まれ。現代思想研究者。季刊「クライシス」編集委員(1984年~1990年終刊)、季刊「理論戦線」(現「理戦」)の編集などに関わる(1990年以降2001年まで)。その間駿台予備学校論文科採点講師(1991年~1994年)。新左翼系運動での理論活動を展開してきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。