内容説明
近現代沖縄における、ことばをはじめとする身体的な矯正。沖縄の人びとの前に国民国家・日本が具体的に立ち現れる。
目次
はじめに 方言札―ことばと身体
1 近代沖縄における方言札の出現
2 「南嶋詩人」、そして「国語」―八重山地域における近代学校/“声”と“文字”の相克
3 近代沖縄における公開音楽会の確立と音楽観
4 翻訳的身体と境界の憂鬱
5 沖縄教職員会史再考のために―六〇年代前半の沖縄教員における渇きと怖れ
6 沖縄移民のなかの「日本人性」―近代化と徴兵制から移民を考える
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かしわぎ
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自文化を大切にしている現代の沖縄を知るため、あまりのギャップからアイデンティティの所在の変遷について考えさせられた。2011/02/04
有智 麻耶
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規律訓練型権力や国民国家論、(ポスト)コロニアリズムといった分析視角から、近現代の沖縄における「方言札」をはじめとする言語政策(教育政策)を考察した論文集。第二論文において提示された「〈文字〉を介した〈声〉の規律訓練の概念装置」という「国語」の定義は、私が今までうまく言い表せなかったものを的確に言い当ててくれたように思う。沖縄語に対する抑圧が、ヤマトの人々によってのみ行われたわけではなく、「日本人」として主体化=従属化させられたウチナーの人々によって積極的に推進されたということについて、さらに考えたい。2019/07/17