内容説明
大正は先見していた―。1920年代、芸術の都パリ。その“文化人税関”といわしめた松尾邦之助を主役に、藤田嗣治、武林無想庵、石黒敬七、辻潤、金子光晴たちとの交流を描き、次第に後年の松尾本人と著者との対話に軸をうつしてゆく。あぶりだされる“日本”の姿とは?オリジナル(1989年作品)に加え、補遺の2篇を収録。
目次
エコール・ド・パリの日本人野郎(では、陰湿でうじうじした日本よ、さようなら;歓楽街のアッフランシと接し、ノイローゼが治る;異国で女にもてない奴は、成功できないだろう;“理性の美”と“無知の徳”の狭間で煩悩する;なにくそ貧乏に負けてたまるか、草を食ってでも生きてみせる;日本人会を通じてさまざまな人を知り、運が開けてくる;武林無想庵、妻の文子に裏切られ、哀れコキュとなる;自然で寛容に生きれば、きっと人間世界はうまくいく;グラン・オペラ座で白粉をつけて三人組、柔道をみせる;次から次へとやってくる日本人の民間大使として奮闘する;パリ祭で悪童ども、辻潤にならって「新ストトン節」をうたう;エコール・ド・パリに晩鐘鳴って、みな故郷に帰っていく;すべては夢か幻か、戦い終わっての棒ちぎれ)
補遺二篇(パリのコスモポリタン・松尾邦之助;回想・松尾さん時代の「個の会」)
著者等紹介
玉川信明[タマガワノブアキ]
1930年富山市旅籠町に生まれる。竹内好に師事。2005年、急逝(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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