内容説明
本書は、日本帝国主義が中国において行なった植民地教育について、中国人学者によって書かれた論文を中心に編まれたものである。日本侵華植民地教育史についての研究が、1990年代に開始されて以来、中国で発表された論文の中から、編者が選んだもので構成されている。
目次
第1部 侵華教育研究の課題と方法(中国における「日本侵華教育史」研究の動向と課題;皇民化教育、同化教育と奴隷化教育 ほか)
第2部 「淪陥区」における植民地教育(侵華期における植民地教育政策;中国淪陥区における奴隷化教育について ほか)
第3部 偽満洲国教育の諸相(「九・一八」事変以前の中国東北教育;偽満洲国の成立と教育政策の展開 ほか)
第4部 教育支配・浸透と抵抗(反満抗日教育運動の展開;「私塾」の静かなる抵抗 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
残留農薬
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何がしかのたたき台として。まあ、「奴隷化教育」といったドギツい言葉が並ぶ文章も多くあるが、同じ史料からでも“視点”の違いで描き方は全く異なると感じた。尤も、これらの論考はやや日本による中国人教育を民国までの教育と切り離して捉えるきらいがあるように感じた。対日協力政権、特に満洲国などは緻密な計画の下で建設されたものではない(と感じる)ので、実態としては教育分野においても従来のものとのパッチワークで構成されているのではないか、「植民地教育」にも民国との連続性が見出せるのではないか、と思った。2013/06/22