内容説明
尹奉吉の軌跡、それは、「膨張する国」と「消滅させられた国」と「一部を侵された国」の対立と連帯の中で、「国家」と「民族」、そして、「侵略」と「抵抗」をあぶり出す。本書は、このあぶり出されたものを手がかりに、アジア太平洋戦争の第一段階となった1930年代前半という極めて限定した期間の出来事を検証している。
目次
第1章 最期の地・金沢(大阪発金沢行;金沢・三小牛山;金沢・野田山 ほか)
第2章 上海・抗日戦と独立運動(上海日本居留民;日本海軍;中国第一九路軍 ほか)
第3章 民衆は戦争を支持した―「埋葬」の社会的背景(民衆の変貌;捕虜は死すべし;爆弾三勇士 ほか)
第4章 二つの碑(その後の臨時政府;臨時政府の位置;尹奉吉の遺骸の捜査と発掘;二つの碑)