出版社内容情報
近年、青年がひきおこす様々な現象を「モラトリアム青年の病理」としてとらえ、問題視
する見方がひろがっている。しかし、モラトリアムを享受できる青年が多くなってきたことを
社会の進歩と考え、彼らの姿を肯定的に見ていくことも可能なのではないだろうか。
本号では、こうした問題意識をもちながら、青年と社会の関係を考察してゆく。
【目次】
・プロローグ/「モラトリアム青年肯定論」について (渡部 真)
・座談会/モラトリアム青年の今日的意味
(松本良夫/布村育子/小池高史/渡部 真)
■モラトリアム青年の理論的考察
・精神医学から見たモラトリアム (古橋忠晃)
・生涯発達段階論とモラトリアム青年 (服部祥子)
・青年期の「脱社会」性向について ― 社会学的試論 (松本良夫)
■モラトリアム青年の積極的理解にむけて
・元祖モラトリアム人間 (吉本隆明)
・フリーター問題とモラトリアム青年 (新谷康浩)
・引きこもりとモラトリアム (高岡 健)
・「大人」にならないための成熟 (布村育子)
・現代消費社会におけるモラトリアム
― リミックスされたアイデンティティへ (加藤隆雄)
■学校とモラトリアム青年
・〈ゆらぎ〉としてのモラトリアム現象 ― 教育社会を問い直すために (菊地栄治)
・『ハイスクール1968』後日譚 (四方田犬彦)
・『大学の学校化』とモラトリアム (渡部 真)
・大学院の変容と大学院生 (宝月 誠)
■現代社会の中の青年
・ケータイを持った若者たち (酒井 朗)
・青少年における「犯罪の衰退」 (大村英昭)
・サブカルチャーの中のモラトリアム青年
― モラトリアム・ジュニアの提示する問題 (大野道夫)
・シングルはモラトリアムか? (上野千鶴子)
■文芸の中のモラトリアム青年
・文学の中のモラトリアム青年 (芹沢俊介)
・映画の中のモラトリアム青年 (寺脇 研)
・つゝころばし ― 歌舞伎のモラトリアム青年像 (渡辺 保)