出版社内容情報
戦国・安土桃山の戦乱が終息を迎えた江戸時代、徳川家康の歿後、天海僧正らの
日光東照宮、輪王寺建立を皮切りに大規模な社寺新建、造像活動が開始される。
湛海や円空らの優れた造像活動や中国様式の昇華により、多様な展開を見せる
江戸期仏像彫刻の、隆盛、普及、明治維新後の廃仏毀釈による終焉までをたどる。
また、戦国時代以降の諸大名から、将軍家、高僧や庶民に広がっていく肖像彫刻の
展開を、多数の遺品を掲出し論述。面や根付などの工芸品、建築彫刻まで多岐にわたる
江戸彫刻史の全貌を開示する。
【主要目次】
■江戸彫刻前史―桃山時代
・二つの大仏/・宗貞と宗印/・康正の登場/・康正と康清
■徳川幕府の造像
・仏師系図の確認/・天海と日光の造像/・日光での康音と康知/・七条仏所の隆盛
■江戸彫刻の盛期
・『京羽二重』の仏師達/・吉野右京と久七康以/・宝山湛海と院達・隆慶/
・范道生と松雲元慶/・遊行僧円空/・九品仏と江戸六地蔵
■造像の普及と彫刻の世俗化
・二つの大仏・その後/・造像の普及と仏師達/・さまざまな彫刻とその作家達/
・ギメー美術館の仏像パノラマ
■おわりに―江戸彫刻の調査・研究
・参考文献
・図版目録
■附論:近世の肖像彫刻