出版社内容情報
文書・典籍の歴史を「もの」その物から解き明かすのが古文書学・写本学である。
本号では写本学の基本の書く行為とは何かを、絵画資料に見られる書き姿を中心に
検討し、写本の制作過程を述べ、装訂の変遷を通して冊子本の成立史についても
論ずる。写本は、巻子本から冊子本が成立したとするのが定説であるが、紙の発明により
独自に発生した冊子本もあったと考えられる。古代律令制度の公文書は楷書を用いたが、
机の上で書かれた文書が机を離れ、二枚を手に持って書くようになる。
その過程は楷書から行書・草書への変遷である。
【主要目次】
・写本学
・絹布を目指した紙―大高檀紙の皺
・文書の書き姿
・写本の書き姿
・冊子本の成立
・図版目録
・附論:修理による形体の変革