出版社内容情報
【この本の内容】
● 第1章
寺社建築を鑑賞するためには、寺社全体として建物が欠かさず揃っている必要から石手寺にポイントを絞り、全体像を
浮き上がらせるべく取材を試みた。
四国霊場五十一番目の礼所「石手寺」(728年創建)の門から順に本堂、三十の塔、護摩堂、鐘楼、鎮守社(訶梨帝母天
堂)、五輪塔、石手寺古図や棟札にいたるまで、たどるであろう拝観順に沿って、外部・内部の鑑賞ポイントを述べて
いる。
● 第2章
種別と形式を、構造形式の基本(寄席棟、入母屋などの屋根形式や、破風形式、二重・一重裳階付の違いなど基本なが
ら大切な用語を図入りで解説)や、仏堂のみかた(宗派による建造物の違い)、仏塔のみかた(多重塔と多宝塔の構造
的違い)等々、寺社建築をテーマ別に、問題意識を以って解説。
● 第3章
膨大な写真でまとめ上げたこの章こそが、この本ならではの心臓部である。
基壇や礎石、柱から木鼻、様々な組物、架構・妻飾など写真と共に時代別、用途別の解説は、いままでの本には見られ
なかった特集である。
● 第4章
この章は建築史を述べたものである。他の分野でもいえることであるが、日本文化は常に大陸文化を取り入れ、和風化
していくことの繰り返しであったと言っても過言ではない。それだけに建築様式も多様になり、複雑化して難しくなっ
たとも言えるが、興味深いものも多く残ったともいえよう。寺社建築の伝来と発展、国風化そして伝統の継承を解く。
● 建築Q&Aは、本書編集段階で浮き出た疑問に答えていただいたもので、本書全体にちりばめている。
【編集部より】
この本も、やはり日本人に縁遠くなりつつあるものとして取り上げたテーマである。類書がないためであろうか、反応
も良く、一般の方だけではなく建築専門の方にも喜ばれている。
【著者紹介】
濱島 正二(はまじま まさじ)
1936年大阪府に生まれる。
1959年神戸大学工学部建築学科卒業。
京都府教育庁技師、文化庁文化財調査官を経て、現在国立歴史民族博物館教授、工学博士。
至文堂からの刊行物には、塔の建築(日本の美術)、古図にみる日本の建築などがある。
内容説明
本書は、寺院・神社の建築を鑑賞し理解するために必要な基礎知識を解説したもので、まず最初に、中世の堂塔がほぼ揃って残されている石手寺を例にとって鑑賞のポイントを示し、次いで建築の種類ごとに構造形式の概要を述べ、基礎から雑作まで細部の様式手法について時代的な変化を中心にみてゆき、最後に全体の大きな時代的流れを概観した。
目次
1 鑑賞のための基礎知識―鑑賞手法を石手寺にみる
2 種別と形式に関する基礎知識
3 建築細部の様式手法に関する基礎知識
4 寺社建築の流れに関する基礎知識
5 建築知識QandA