出版社内容情報
【この本の内容】
この「日本刀の鑑賞基礎知識」は
1鑑賞のための基礎知識
2製作に関する基礎知識
3鑑定と保存の基礎知識
4武将と名刀
5各時代の代表作品
以上、5章から成り立っています。
● 第1章
刀の美しさを「カラフルな」という意識で捉えたのでは、刀は単なる鉄の塊である。刀の基本となる美の多くは刃文に
あるといっても過言ではない。
この章の「刃文の見方13例」には、特殊撮影した刃文を掲載。肉眼でも容易に窺い知れない鍛え肌(きたえはだ)などを
拡大写真でとらえ、いわゆる刀の専門家が言葉で言い表すとしたら、何と表現するかを試みた。かつてない企画であ
る。
また、この章では槍と薙刀、太刀と脇指などといった基本的な日本刀の様式や常識を解説している。
● 第2章
この章では美術史研究の著者が、技術者である刀匠“吉原義人氏”研師“藤原興里氏”鞘師“高山一之氏”と対談。古
伝統に基づく技術の数々を、技術者がそれぞれの経験から解き明かしている。
● 第3章
この章では「刀の欠点を解き明かす」ことをメーンテーマとしている。欠点を見つけだすことがいわゆる鑑定であり、
保存や修理につながるからである。刀箱や刀袋などを付属品にも言及。
● 第4章
この章では、作家“津本陽氏”に登場いただき、ご自身が体験された試し切りの実態を披露。史実を取り混ぜた、歴史
作家ならではの語りを一見の価値がある。付随した名刀物語も圧巻。
●各時代の代表作品は写真を添えて歴史的に解説。
【編集部より】
今まで刊行される多くの本がそうであるように、一般には刀の刃文を見分けるのは難しい。
刀の本も、それを容易に解せずに難解用語を連ねるか、またはそれを省く場合も間々見受けられる。
最も基本であり、最も難しい刃文の実体を知っていただければ刀も必ず一般に愛好されるものと信じて編集しました。
【著者紹介】
小笠原信夫(おがさわら のぶお)
1939年、東京に生まれる。佐藤貫一(寒山)文学博士に刀剣の指導を受ける。1962年、早稲田大学政治経済学部卒業。
同年、財団法人日本美術刀剣保存協会勤務。1966年、東京国立博物館刀剣室勤務。現在、工芸課長。文部技官。
【著者の言葉】
この日本刀の鑑賞基礎知識を執筆してから既に10年が過ぎようとしている。いままで多くの本を執筆してきたが、ここ
まで多くの反応をいただいた本は珍しい。すでにほんの販売部数は日本刀愛好者人口をとうにオーバーしているようだ
が、いったい、どんな人が読んでいただいているのかと興味がわいてくる。