内容説明
近年、唐代史の叙述は、中央ユーラシア史やジェンダーの視点を採り入れ、大きく変わりつつある。しかし政治史においては、皇帝と貴族・儒家官僚ら男性エリートを中心に据えた「正統史観」が依然として強固である。本書は、従来「周縁」に位置づけられてきた女性・宦官・外来人・仏教僧侶を中心に据え、唐代史の枠組みをパラダイム転換する試みである。仏教を媒介として結びついたこの「もうひとつの唐朝」は、禁軍や寺院のような組織を通じ、宗教・軍事・経済面で無視できない勢力を形成した。そして、唐代のじつに三分の一の期間にわたり、独自のやり方で国家を支え、動かしていたのである。
目次
序章
第1部 「周縁」勢力の台頭とそれに対する反動(武韋政権における仏典翻訳の政治性;武韋政権と仏教的世界観の転換―辺土から中心へ;ソグド人と仏教―唐における「改宗」の諸相;天竺から来たソグド人―「故金剛智三蔵行記」より;玄宗開元期の反動―仏教粛正と「胡」への対応)
第2部 「周縁」勢力の再興とその後(宦官による政治主導と仏教の役割―『仁王経』翻訳事業の分析より;不空の長安仏教界における台頭とソグド人;徳宗期の長安仏教界とユーラシア情勢―『大乗理趣六波羅蜜多経』翻訳事業の分析より;徳宗期『四十華厳』翻訳にみる仏教的中華;宦官にとっての仏教―儒教的価値観の超克「もうひとつの唐朝」と会昌の廃仏;「もうひとつの唐朝」の遺産―沙陀の唐中興と五臺山)
終章
著者等紹介
中田美絵[ナカタミエ]
兵庫県生まれ。2007年 大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、京都産業大学文化学部准教授。博士(文学)(大阪大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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