内容説明
近代京焼には、古都としての歴史性を背景に、登り窯を中心とした制/製作者による緊密なコミュニティーや、数理的思考の涵養と技術・情報のハブとして機能した京都市立陶磁器試験場の存在など、独自の進化・発展因子が形成された。このような環境のなかで、小森忍をはじめ、民藝運動や走泥社、さらにはニューセラミックスなど、多様な潮流が生まれ、育まれた。本書では、これらの潮流を横断的に捉えることで、従来の工芸史の枠組みを超えた、オルタナティブな陶芸・窯業史の提示を試みる。近年活発化する「工芸」「デザイン」「アート」領域の再定義を背景に、京焼における芸術性(陶芸)と産業化(窯業)の拮抗・併存がもたらす製陶の新規性と発展を、複眼的に考察する。
目次
序
第1部 小森忍の陶芸と窯業(1)(京都市立陶磁器試験場時代―数理的思考の濫觴;満鉄中央試験所時代―中国倣古陶磁器技法の再現と産業化;満洲・〓雅堂時代―茶道具から鑑賞陶器、建築内装材へ)
第2部 小森忍の陶芸と窯業(2)(瀬戸時代(1)―山茶窯による建築内装
瀬戸時代(2)―山茶窯、名古屋製陶における洋食器の東洋化
総括・小森忍の仕事―芸術性と産業化の拮抗・併存)
第3部 継承される京焼の革新性(戦時下における京焼の技術進化;京焼における芸術潮流)
第4部 窯業からニューセラミックスへ―京焼が生む最先端技術(京焼におけるニューセラミックスの黎明―村田製作所;京焼におけるニューセラミックスの発展―京セラ)
結―京焼にみる芸術性と産業化の拮抗・併存
著者等紹介
宮津大輔[ミヤツダイスケ]
アート・コレクター、横浜美術大学教授、森美術館理事。1963年東京都出身。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻後期博士課程修了。博士(学術)。広告代理店、上場企業の広報・人事管理職を経て大学教授に転身。横浜美術大学第三代学長として、コロナ禍における経営状況の改善を遂行した。また、既存の芸術祭とは異なる「紀南アートウィーク2021」や「“Fukuoka Art Next” Week 2022・2023」の芸術監督として斯界に新風を吹き込む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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