内容説明
昭和戦前期、“文化”はどのように語られ、いかなる意味を担っていたのか―。日中戦争開戦前、フランスを中心とする思想にアクセスできる文学者や哲学者にとって、“文化”は迫り来るファシズムに抵抗するための根拠だった。それからわずか数年、“文化”は多くの国民が関わり、太平洋戦争を支える旗印となっていった。本書では、この「文化の擁護」から「文化の建設」へと至る歴史的転回を、当時の膨大な言説の分析から検証した。
目次
序論 戦時下‐昭和一〇年代における“文化”
第1部 “文化”の通史‐変遷(世界化する“文化”―昭和一〇年前後の文化擁護国際作家会議/知的協力国際会議;大政翼賛会文化部長・岸田國士の“文化”論―昭和一〇年代前半の“文化”言説;日本文化/大東亜文化/世界文化―昭和一〇年代後半の“文化”言説)
第2部 “文化”の表徴‐各論(昭和一〇年代における地方文化(運動)言説―文学(者)を軸として
“文化”言説のなかの“近代‐西洋文化”―文化史としての「近代の超克」
太平洋戦争期の文化工作言説―南方・諸民族・大東亜共栄圏)
総論 日本文化の性格
著者等紹介
松本和也[マツモトカツヤ]
1974年生。立教大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了、博士(文学)。現在、神奈川大学国際日本学部教授。日本近現代文学・演劇・美術(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。