内容説明
本書は、京の歴史的あゆみを視野に入れながら、古代、中世、近世、近代のそれぞれの時代に京に関わりを持った多様な女性の生き方を跡付ける内容となっている。
目次
藤原寛子とその時代
藤原道綱母から菅原孝標女へ―利用された大嘗会の御禊の意味
戦国期の「家」と女性―細川ガラシャの役割
近松半二の作品にみる「京鹿子娘道成寺」と富十郎の芸の摂取
娼妓と遊客―近代京都の遊郭
京都大学最初の中国人留学生―「女性の権利」の訳者馬君武
小笛事件と山本禾太郎
戦間期京都における婦人運動―榊原弥生を中心に
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
18
「小笛事件と山本禾太郎」の一篇。「人のいふことなどに耳を傾けない」と近親や知り合いからも評判良からぬ初老の女性。一方、内気で社会経験の乏しい元京都帝大生。その女性にいいように翻弄された末、その関係を清算しようとする。未練、激怒、不安等様々な感情が女性から溢れ出す。結果、養女と近所の女の子二人を道連れに、男性の犯行を装って腹いせの縊死。殺人の罪で起訴された男性も、明らかに冤罪であるに関わらず、自分の気の弱さがこの惨状を招いたと告白する始末。結果、幸いにも無罪だったが、生命力の弱さが災禍を招いたと言える。2020/03/28
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