出版社内容情報
魅力的に小松古筆学を語る (談 永井路子)
「いささかの御縁から、小松博士の著作はかなり拝見しており、その精緻、ユニークな研究に敬意を表してきましたが、探求はあまりに広範囲に亘り、時に古筆学の曠野に立ちつくす思いもありました。
何か統一的理解への手引はないものか、と思っていた矢先の、この好著の出現です。小松古筆学の深い理解者である田中氏は、さらにその背後にある小松氏の人間性に触れ、業績の総合的理解には、人生の軌跡の跡づけこそ不可欠であることを示しておられます。
小松氏が、広島での原爆に傷つきながら、一冊の研究書にめぐりあい、古筆学への出発の端緒を摑まれた話は感動的ですが、田中氏も偶然手にした小松氏の『古筆』に魅せられて、この世界にのめりこまれたとか。
探究者の相似の人生は読むものを惹きつけます。ほの温いこうしたエピソードに触れながら、古筆探究のおもしろさをあますところなく語ってくれる魅力の一冊。ぜひ御一読を。」
目次
第1部 小松古筆学、六十年の軌跡(廃墟の中で―一冊の本との出会い;『平家納経』に魅せられて―『いつくしま』の刊行;決意の上京―念願の博物館勤務;古筆学への船出―『後撰和歌集 校本と研究』 ほか)
第2部 小松茂美、人と学問(豪華版『いつくしま』―『いつくしま』(広島陸運局・非売品)
若き学究徒の夢結ぶ―『いつくしま』(広島陸運局・非売品)
独学の原爆青年、若い情熱と努力の賜物―『後撰和歌集 校本と研究』(誠信書房)
日光二荒山神社宝蔵『後撰和歌集』の刊行―『後撰和歌集 校本と研究』(誠信書房) ほか)
第3部 小松茂美履歴・研究業績
著者等紹介
田中登[タナカノボル]
昭和24年愛知県生まれ。名古屋大学大学院博士課程単位修得。専攻、平安文学・古筆学。現在、関西大学文学部教授
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