出版社内容情報
これまであまり紹介されなかった地域も含め各国別の個性的な展開をたどり、さらに建築音楽写真モードなどにも言及。
内容説明
開国と万博の19~20世紀、西洋芸術に革新をもたらした日本の美学。本書では、地域別の章立ての中で絵画、彫刻、工芸、素描、版画など、狭い概念での美術のジャポニスムについて述べ、それ以外に広くアートとして認められる写真、モード、建築、音楽にまで裾野を広げ各章をあてた。ジャポニスムを単なる美術運動としてだけでなく、広い文化現象として捉えることに視野をおいている。
目次
日本美術の海外流出―ジャポニスムの種子はどのように蒔かれたのか
フランス・1890年以前―絵画と工芸の革新
フランス・1890年以降―装飾の時代
イギリス―ゴシック・リヴァイヴァルから日本風庭園まで
アメリカ―東回りとフェミニズムのジャポニスム
オランダ―出島の国のジャポニスム
ベルギー―前衛芸術とジャポニスム
ドイツ―ユーゲントシュティールのグラフィックと工芸
オーストリア―綜合的ジャポニスムの一例
イタリア―その特異例と原因〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベル
2
【アート⑨】自分がジャポニスムの一面しか見ていないことに気付かされました。脚だけ見てタコを語るようなものでした。そんな自分に、文字通りジャポニスムの全体像を示してくれたのが本書。地理的には英仏はもちろん、ロシア、北欧まで、分野においては音楽、写真、モードまで。なかなかお目にかかれない情報の数々は、ジャポニスムが表層的な流行ではなく、深く根ざした芸術運動であったことを教えてくれました。ひとつ残念なのは、カラー図版が少ないこと。画像検索しながらの読書は、ちょっと面倒くさかったです。画竜点睛を欠いた感じ。2015/12/11
Meroe
1
国ごと,分野ごとにジャポニスム概観という感じ。通して読むには少し退屈だけど手元に置いておきたい。特に生活=美術という印象を与えた日本の美術工芸品とアーツ・アンド・クラフツやアール・ヌーヴォーなどの生活をまるごと芸術にすることをめざす運動とのかかわりが興味深い。とりあえずビングの『芸術の日本』を読まなきゃな。2009/12/07
הזם
0
授業の資料作成の為にスキミングしながら読んだが横浜美術館ホイッスラー展の予習に最適ではともう一度腰を据えて読んだ。欧米各国や建築/写真/ファッションのジャポニスムが紹介されている。当然のことながらそれぞれの論考がしばしば繋がり、また、既存の知識も繋がることもありかなり読み応えがあった。北欧やイタリア、オランダのジャポニスムまで言及してる和書はきっと貴重。2014/12/05