出版社内容情報
建築史学会賞受賞図書
内容説明
本書は、具体的な建築物や場のあり方を中心に、我が国の神社および寺院における宗教的営為の一端を明らかにしようと試みたものである。従来の寺社の研究においては、古代の国家および上層貴族層の造営になる寺社の歴史、平安時代以後の宗教的権門の動向、鎌倉新仏教の思想と発展などに関する研究が主流をなしてきたが、本書の主題はそれとは異なる。社会階層においては、中流以下の庶民層の信仰を主眼とし、仏教の宗派の区別や寺社の区別にも拘泥しない。現在の我々の常識のなかにある寺院と神社との区別は、明治の神仏分離の影響を受けたものである。前近代の寺社の概念にはそれとは異なる側面があったことは、特に第三章で扱った題材によくあらわれている。
目次
第1章 中世日吉社の研究(日吉七社本殿の構成―床下祭場をめぐって;日吉社の彼岸所 ほか)
第2章 神社建築とその信仰(神のやしろの曙;北野天満宮本殿と舎利信仰 ほか)
第3章 床下と後戸(後戸の信仰;床下参籠・床下祭儀 ほか)
第4章 寺院建築とその信仰(堂蔵の存在様態;堂蔵の史的意義 ほか)