目次
朱子学・陽明学における『大学』(吉田公平)
中江藤樹―本来完全であるということ(小田嶋利江)
山鹿素行―治人の学の認識論(前田勉)
熊沢蕃山―心法と政事(八木清治)
伊藤仁斎―非経書としての『大学』解釈(若尾政希)
闇斎学派―若林強斎を中心に(田尻祐一郎)
荻生徂徠―古文辞学の認識論(前田勉)
懐徳堂学派―五井蘭洲と中井履軒(田尻祐一郎)
古賀精里―異学の禁体制における『大学』解釈(荻生茂博)
大塩中斎―反乱者の人間学(荻生茂博)
佐藤一斎―人倫の担い手の拡大(中村安宏)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きさらぎ
6
源了圓氏の東北大学教授時代の教え子をメイン執筆者に、研究会の成果をまとめたもの。テーマは副題の通り日本の儒者達による大学の受容について。テーマが限定的で1本1本が短いのでやや物足りないというか、一面的に感じる節が多いかなという気がする。必ずしも執筆者の意図に沿った読み方ではないかもしれないが、異学の禁時期の古賀精里による「正統朱子学」、それに対する大塩中斎の反発、「官である故に」先鋭化せずゆったりと様々な門下生の個性を受け容れた幕末の佐藤一斎、という構図などはあまり馴染みの無い人物だけに結構興味深かった。2016/10/24