内容説明
製糸業や温泉観光の発展を期しかつては上田から四方に伸びながら一大路線網は姿を消した。そして今、別所線だけが走り続ける―。建設・延伸の願望、路線を守る闘い、郷愁の旧型電車、被災鉄橋への視線…「1世紀の軌跡」を多面的に追う。思い出作文・エッセイ公募受賞作・秀作を収録。
目次
新たな100年への期待
巻頭特集 別所線のシンボル千曲川橋梁と丸窓電車
第1章 上田の鉄道網が形成されるまで―鉄道省公文書と地図で読み解く
第2章 信濃毎日新聞の記事でたどる別所線と上田の鉄道の百年
資料編
第3章 人生を乗せて走り続けた1世紀 別所線と上田丸子電鉄の記憶―思い出エッセイ・作文秀作集
著者等紹介
今尾恵介[イマオケイスケ]
1959年横浜市生まれ。地図研究家。明治大学文学部中退。中学生の頃から国土地理院発行の地形図や時刻表を眺めるのが趣味。音楽出版社勤務を経て、1991年にフリーランサーとして独立、1991年より執筆業を開始。地図や地形図の著作を主に手がけるほか、地名や鉄道にも造詣が深い。現在(一財)日本地図センター客員研究員、(一財)地図情報センター評議員、日本地図学会「地図と地名」専門部会主査(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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山口透析鉄
26
先日読んだ長野電鉄の本と一緒に、e-hon経由で購入していたのを読みました。 全体的な構成は概ね一緒で、路線建設時の記事は当時の一次資料を用いて今尾恵介氏が執筆し、路線にまつわるニュース記事は信濃毎日新聞より編集し、あとは一般利用者からの寄稿の文集、でした。 廃止になっている路線も多いからか、前作ではあまり出てこなかったストライキの記事も出ていました。 廃止になった路線の思い出を綴った文章等も良かったです。この辺はテツ趣味の方向けの本でしょうか。2023/09/30
のぶ
1
ブレーク前の松岡茉優さんらが流失前の赤い鉄橋の前で鉄道営業法的にはアウトなアングルで映ってた映画ポスター(知らないか…)、あの橋が先日復旧したのでそれと百年を併せ記念して急遽(多分)刊行されたもので、書名の通り、公文書(今尾さんが分析)報道(信毎でまとめた)記憶(市民から募った思い出)の3つをPPAP的に合体させた本です。今般の橋の復旧に向けても市民が活動を展開させましたが実は昭和の頃から別所線廃止案が燻って来たのを市民運動で奇跡的に延命させてきた歴史があった、地域と鉄道網の関係を考える材料になる本です。2022/03/06