内容説明
野生の不思議を追いかけて。たくましく生きる小さないのち。信州から巣立った山階鳥類研究所の名誉所長が綴るユーモアに溢れた珠玉のエッセイ。
目次
1 よみがえれ野生のいのち―絶滅と復活をめぐって(絶滅万歳;信州へ、トキとコウノトリがやってきた ほか)
2 したたかな野生のいのち―行動生態学の見方から(ハーレム男;息子か、娘か ほか)
3 野生のいのちいつまでも―これからの研究の姿(レッド・データブックは常に見直せ;絶滅危惧種の保全目標を明確に ほか)
対談コラム(対談・鳥よ、虫よ、人よ!(養老孟司×山岸哲)
対談・「皇帝ペンギンを語る」(リュック・ジャケ×山岸哲) ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アーちゃん
19
図書館本。鳥類学者である著者の、80年代~2010年代までに新聞などに発表したエッセイと講演と対談が入った一冊です。2012年発行。1つのエッセイがかなり短いので、少しずつ読んでいきましたが、内容は鳥だけでなく魚や絶滅種を記したレッドデータブックについてとか、鳥学会についてなど多岐にわたっており、一番興味深く読めたのが「好事(こうず)と科学」2006年の講演を書き起こしたもので、好事と科学との違い、好事こそが科学を支えているという考えに共感を覚えました。また養老孟司さんとの対談も楽しく読めました。2017/12/11
のぶぶん@今年は心を鍛えます
7
山岸さんは鳥の研究の第一人者。山科鳥類研究所jにも所属しているらしいです。モズの話が楽しかったです。新聞掲載エッセイのまとめだから、自分の興味のあるところだけ、拾い読みもできます。けっこう難しい話題も入ってますが、トキと コウノトリ、二つの絶滅種の復活にかかわった山岸さんの苦労がしのばれますね。僕自身拾い読みだったのですが(爆)また改めて読んでみたいな、と思うところはあります。2012/05/05
hirune
5
絶滅は悪いことではなく避け得ない運命だし、大量絶滅の後には大適応放散とやらが起きるのでいい面もあるという。ただ、人間が加担することによって、自然のバランスが崩れて生息域が激減して絶滅に追い込まれる動植物が多すぎるんですよね。不用意に持ち込むとコアラでさえ害獣になってしまうとは。。野生動物の保護とは大変デリケートな問題だということをあまり深刻にならず、さらさらとした感じで書かれています。百舌がそんなにモノマネが上手だとは知らなかった。近くの公園からチョットコイと聞こえるのは本当にコジュケイなのか、百舌の鳴き2014/01/09
Juichi Oda
2
動物って、人間より下級の存在って言う意識が彼方此方にあるけれど、実はそんなことなくって、人間同様・・・それどころか、もっともっとしたたかに生きていることを、動物生態学とかで知ることは多いです。この本は筆者が山階鳥類研究所の所長を務めただけあって、知られざる鳥の生態を沢山書いてくれてます。それにしても、一夫一婦制が基本の鳥たちに、最上の雄とつがえなかった雌が、優位な雄とこっそりつがって、遺伝子的に優勢な子を産もうとするエピソードなどに、心動かされた次第です。いやぁ鳥たちって、昆虫たちって恐るべし存在です!2015/05/13