内容説明
鍬と釣竿を手に山里から世界を見据えるまなざしが私たちの時代の入り込んでしまった迷路を解き明かす。
目次
第1章 戦争という仕事
第2章 政治という仕事
第3章 経済という仕事
第4章 自然に支えられた仕事
第5章 消費と仕事
第6章 資本主義と仕事
第7章 社会主義が描いた仕事
第8章 近代思想と仕事
第9章 基層的精神と仕事
第10章 破綻をこえて
著者等紹介
内山節[ウチヤマタカシ]
哲学者。立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科特任教授。NPO法人「森づくりフォーラム」代表理事。1970年代に渓流釣りでかよった群馬県上野村にすみ畑をつくり森をたずねて思索する暮らしにはいる。1950年東京生まれ、都立新宿高校卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アナクマ
24
ギョッとする書名ですね。1章。「地域ごとに独立してつくられていた関係的世界を解消しながら、すべての人々が国民として一元化される体制をつくりだそうと」する「正義」。自由・平等・友愛という理念の「特別な権利」性。これらを絶対視する先に「戦争という仕事」があると言います。◉怖い話です。私たちは自然環境と対峙したとき「美味い魚が食べたい」と希望しても良いはずですが、それを「権利」としたとき地続きにある「戦争の論理からは、勝ちも負けもない世界のあることがみえてこない」。また、ひたすらな個人主義の弊害についても。→2022/03/18
yummyrin
7
仕事とは何か、現代の仕事はどのような仕組みのもと位置付けられるのか。江戸時代の武士、他者との関わりを排す。一つ一つのテーマが興味深い。2017/02/02
yuko
2
本書は、信濃毎日新聞に掲載された『哲学の構想力-「仕事」をめぐって』から構成され、「戦争という仕事」「政治という仕事」「資本主義と仕事」などの10章から成り立っています。 この中で筆者は、資本主義は原理だけにまかせておけば腐敗し続け、おそらくその腐敗故に崩壊してゆくシステムであるが、この経済システムを担っている人間たちは、しばしば原理に反する行動をとる。たとえば、利益に反しても「よい仕事」をしようとする人が現れてくる。つまり、働き手は、自分の労働に対するプライドや自分の労働観にもとづいて、しばしば資本主2012/12/22
mame
2
大学時代に教官に借りて読了、その後購入、再読。具体性に乏しい部分もあるが、私の精神的支柱となっている大事な本の一冊。
とおる
1
フランス革命から二百年余りが過ぎ、今日の私たちは何かに戸惑っているようにみえる。確かに、自由や平等はそれなりに確立している。国民の参政権も保障されている。それなのに、自分たちが政治を動かしているという実感はない。むしろ部屋のなかに浮遊する埃のように何となく国家システムのなかで漂っている、無力な自分を感じている。何となく管理され、いまのシステムのもとで何となく生きているばかりの自分を。2007/04/07
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