内容説明
明治43年夏、例のカイゼル髭の作家夏目漱石は、詰め込んだ大きなカバンをさげて東京・新橋駅を発った。三島駅(現在下土狩駅)で伊豆鉄道に乗り換え、夕刻終点大仁駅に降り立った。伊豆の修善寺は漱石が滞在し病に倒れた地だが、大きな心境の転換を見せ、小説、俳句、漢詩など数々の作品を生みだしたところである。温泉の好きな文豪は、また絵の具箱を担いで出かけたいと言った。人間と社会、自然の観察者・漱石は、伊豆の修善寺で何を見、据えたか。
目次
漱石の修善寺経験―病と心に生き返る(夏目漱石という人;作家への道のり ほか)
差し出した手紙―愛娘にやさしさを送る(斎藤阿具あて;わが子あて ほか)
俳句、漢詩にした修善寺―安らかな心、それがわが句わが詩(漱石の俳句、漢詩;東京・新橋駅を発つ ほか)
ゆかりの漱石作品―忘れるから思い出す(随筆『思い出す事など』;修善寺の日記 ほか)
夏目漱石文学碑―碑文になった名詩名句(名詩の文学碑―修善寺自然公園;名句の文学碑―修善寺・中山家 ほか)
著者等紹介
中山高明[ナカヤマタカアキ]
静岡県立大仁高等学校教諭などの後、静岡県教育委員会指導主事、特殊教育課長を経て静岡県立伊東高等学校長等歴任。国学院大学文学部文学科卒業。その他、図書館司書、司書教諭資格
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