内容説明
海の戦いのエキスパート「伊豆水軍」。北条軍の主力として強力艦隊も編成。東国の海に生きた異端集団の実像に迫る。
目次
第1章 古代伊豆の海賊と水軍(伊豆水軍発生;枯野船と伊豆手船;庵原氏とその水軍;海賊の実体;将門・純友の乱と海賊;為朝の伊豆離島独立国)
第2章 海の武士と民衆(武士と農民と海賊;源平の戦いと水軍;反鎌倉の海賊たち;海の悪党;南朝の海上ルート;動乱のなかの伊豆海賊;熊野と伊豆の往来;山伏と海賊;海賊の根拠地;割拠する海賊的小領主)
第3章 後北条氏の伊豆水軍(北条早雲と伊豆水軍;早雲の領国支配;伊豆諸島占領;新井城包囲戦;江戸城代に伊豆水軍の将;江戸湾・三浦水道の海賊;海上ゲリラ合戦;海賊と水軍;水軍戦法;熊野水軍来援;今川氏の水軍;武田氏の水軍;風魔党とその海賊;伊豆水軍領主たちの実態)
第4章 大型水軍の時代(鉄砲・安宅船・関船;水軍基地の整備拡大;駿河湾か遺族;里見水軍、伊豆を襲う;豊臣軍団と対決;北条水軍壊滅)
終章 その後の伊豆水軍(北条滅亡後の伊豆水軍;伊豆水軍の後裔たち)
著者等紹介
永岡治[ナガオカオサム]
1930年(昭和5年)、伊豆市八木沢で生まれる。静岡大学教育学部臨時養成科修了。伊豆各地の公立小学校に33年間勤務。1982年(昭和57年)退職。以後文筆業。現在伊豆市文化財保護審議委員長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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穀雨
7
戦国時代の伊豆の海が武田、今川、北条、徳川、里見といった諸大名の勢力が交錯する草刈場であったことは知らなかった。伊豆の歴史というと北条氏をはじめとする鎌倉武士が注目される一方、本書で扱われるような海に生きた人々にはあまりフォーカスされることがないので、類書が少ないという点で貴重な一冊だと思う。著者もそうした伊豆の旧家の出身とのことで、自らのルーツへの誇りが伝わってきた。2022/05/28
getsuki
6
伊豆の海賊たちの興亡を考察した一冊。北条、今川の河東の攻防、今川滅亡後に水軍を吸収した武田、そして徳川と目まぐるしく変わる状況を巧みに生き抜いた彼ら。ほとんど知られていないけれど浪漫を感じずにはいられない。2015/10/26