目次
消された言葉
パラレルワールドのようなもの
青虫の唄
わたしが透明じゃなくなる日
波音はどこから
救わない
著者等紹介
文月悠光[フズキユミ]
詩人。1991年生まれ。16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年のときに発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社/ちくま文庫)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少18歳で受賞。そのほかの詩集に『屋根よりも深々と』(思潮社)、『わたしたちの猫』(ナナロク社)。エッセイ集に『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎/新潮文庫)がある。雑誌「婦人之友」にて「ミヨシ石鹸」広告の詩を毎月執筆。詩の朗読、詩の展示、インスタレーションなど広く活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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fwhd8325
66
久しぶりの文月さんの詩集。文月さんの朗読も聞いたことがあるので、声と一緒に世界観をイメージしますが、この作品集は少し烈しい印象を感じました。朗読ではどのような表現をしてくれるのか、とても気になりました。赤裸々という表現が良いのか迷うところなのですが、前作より一層、ご自身を表現している。そして、それは今後の作品に大きな興味を感じさせてくれました。2023/01/03
しょうご
8
正気であり続けることが もはや狂気そのものだからだ。 (p46)2023/01/09
Э0!P!
3
以前、女性の成長を読んだ詩でいい作品があったなと思ったら、同じ詩人の詩集だった。後半に掲載されている女性の身体にまつわる詩はとてもよかった。だが、表題作は読んでいて怒りが湧いた。コロナ禍の社会を謳ったものだが、隔離政策に被害者意識を向ける内容。当時社会を救うために戦った政策立案者や医療者の意図(お互いを殺させないための方策)を理解しているのだろうか。(勿論オリンピック開催について疑義があるのは当然)。身体と精神を読む詩人が他人の命よりも自分の感情を前に立たせるという内容の詩を読むのにちぐはぐな印象を受けた2025/03/02
タオルケット
3
内に抱える怒りや絶望を奮い立たせるような言葉たち。同じ時代に読めてよかった。2023/05/13
エオリアン
2
コロナ禍についての詩が印象に残った。コロナが感染拡大している最中、五輪開催する状況をうたった「パラレルワールドのようなもの」ではアルコール噴霧器から自分自身が毒であり、見えない何かに消されるのではないかと怯える心情がうたわれている。誰もいなくなった街で居場所を奪われた人々の悲哀、アイデンティティの喪失がうたわれた「誰もいない街」。2024年現在ではコロナが何だか風化したような空気感だけど、コロナが、ひいては日本社会が奪ったものは命だけでなく、あったかもしれない時間だったのだと思った。2024/05/19