出版社内容情報
須賀さんの声はいつも本のなかにあり、ひらかれるときを待っている。外が暗ければ暗いほど、ストーブの焔の色が濃くなるのは、ほんとうだと思う。 (「待ちわびてひらくものがたり」)
「椎の実の季節には、森で拾ったほんものの椎の実を届けたいような気持になっていたし(・・・)わたしの小さな庭や畑に咲いた草花も一緒にお送りしたい気持ちになっていた」(あとがき)。
個人誌「ばらいろ爪」に連載された、静かで、ひたむきなエッセイ群。
没後20年の須賀敦子の言葉に捧げる。
北原千代[キタハラチヨ]
著・文・その他
内容説明
個人誌で静かに書き継がれた須賀敦子に捧げる13の花束。季節ごとの手紙には、庭のささやかな草花を添えて。第67回H氏賞を受賞した詩人による、初めてのエッセイ集。
目次
待ちわびてひらくものがたり
フレスコバルディのToccata
靴を、島を探して
『ヴェネツィアの宿』に響く調べ
「雨だよ、たくさんあたっておたのしみ」
息をするのと同じくらい
大地に根を持つ受動態
自分を映してみる道
澄んだ空気をつらぬいて、「こうちゃん」は呼ぶ
泥のなかに〔ほか〕
著者等紹介
北原千代[キタハラチヨ]
1954年生まれ。詩集『真珠川 Barroco』(2016年、第67回H氏賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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蒼1228
2
図書館。須賀さん御本人との面識や交流はなかったのかな? これまで出版されたものは面識があったり、交流があったりした方のものばかりだったので、一ファンとして綴られた須賀敦子さんへの想いに親近感を覚えた。2019/02/09
やくも
1
書店でたまたま見つけた一冊。須賀敦子と面識のある方々の本が多く出版されるなか、われわれと同じ目線で語られるエッセイを読むのは、新たな発見はないものの、自分の須賀敦子歴を振り返るようで心地よい。初めて出会ったのが『本に読まれて』というのが僕と同じで、親近感を覚える。2018/09/01