出版社内容情報
従来の詩人論が、どちらかといえば語られる対象(詩人)の個性的な輪郭を描くことに重心をおき、いわば差別化する方向にあったとすれば、昨今のそれは対象となる詩人の生きた時間というものに焦点を当てることによって、むしろその個性を普遍化する方向にあるように見えるのだ。(「人が人を語る構造について」)
詩の批評を〈批評〉する
「言葉に内在する“美”の採掘を旨とする批評が、たしかな根拠のうえに立った行為として成立しうる臨界線のようなものは存在するのか―」(あとがき)。
2000年以降の「現代詩手帖」発表論考を中心に集成、詩と詩論の現在軸をたぐり寄せる力作論集。装幀=佐々木陽介
添田馨[ソエダカオル]
著・文・その他
内容説明
詩の批評を“批評”する。従来の詩人論が、どちらかといえば語られる対象(詩人)の個性的な輪郭を描くことに重心をおき、いわば差別化する方向にあったとすれば、咋今のそれは対象となる詩人の生きた時間というものに焦点を当てることによって、むしろその個性を普遍化する方向にあるように見えるのだ。“誰か”による“誰か”とは果たして誰なのか?まったく新しい言説構造の出現に、いま私たちは直面しているのかもしれない。
目次
1 情況と展望(批評の穴底と“倫理”の水脈 二〇〇四年、詩の批評の現場で;微差異化の地形 二〇〇七年展望;二重の螺旋、または批評と詩史的情況論 二〇〇九年展望 ほか)
2 クロニクル(行為としての文学 六〇年代詩的ラディカリズム、主にそのポジティブな符牒としての詩的七〇年代、あるいは戦後詩の屈折点;「特集」誌面上の八〇年代フット・プリント ほか)
3 詩論時評(「自己表出」が「自己表出」に出遇うとき;「レトリックの思想」と歴史認識;“パルレシア”から“エンテレケイア”へ ほか)
著者等紹介
添田馨[ソエダカオル]
詩人、批評家。1955年生まれ。詩集に『語族』(思潮社、第7回小野十三郎賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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