目次
コーヒーに砂糖は入れない
遠賀川
六郷川
切らなきゃならない玉ねぎは
哺乳瓶を置く場所がなかったから
ほかのものがみたい
人生にうんざりする前に
いのちにいじめられていると
掌の中のカタムキ
夜のポンプ
日記のように 2019
床屋で
バス停で傘をさしていた
バスは急カーブを曲がって
いっとうはじめにふるあめは
わたしたちはやわらかい
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
109
「コーヒーに砂糖は入れない もうなにもこれ以上あまくしたくないから」「ぼくはおどろいてうしろをむき 体のむきをもどしたら もう 五十七歳の夏になっていた」詩のことばにハッとする。いつのまにか時は経ちます。「書くということは 何かを傷つけ続けることであり 書くということは 書かないということを選び取らない おそろしい行為です」どういう意味かわからないが、心に引っかかる。「わたしたちはやわらかい 抱き合えば くいこむほどにやわらかい」最後に載る詩が一番好きかな。全16篇の詩。小学3年で始めて18年振りの詩集。2022/08/10
サケ太
16
表紙を見て衝動的に購入。著者初読み。美しいことば、思いもいもつかないような言葉に、世界に引きこまれていく。『生きたいという気持ちと 生きたくないという気持ちが ないまぜになる』。この著者の世界観の素晴らしさに浸りたくなる。2022/04/01
Timothy
9
気になる新刊『詩の教室』を読むにあたり(そちらは結局積読に回してしまったが)、どんな詩を書く方なのか知りたくて一緒に読み始めた詩集。散文詩も自由詩も、なんとなくエッセイのような読み心地だった。時局柄か、怒りと共に疲労感を吐き出すような文章に触れることが多い中、攻撃的なところのない一冊にかえって戸惑う。2022/07/13
garyou
2
『はじめて詩を読み、書くひとのための詩の教室』で知ってどんな詩を書くのかと読んでみた。先に読んだ本にも出てくるけれど「現代詩はわかりづらい」という先入観を打ち消してくれる。それでいてこちらの想像力・妄想力をかきたてる詞章があちこちにある。 「いのちにいじめられていると かんじる日が あります」 とか。2023/03/03