内容説明
閉ざされた冬の、コトバの森。方位なき地形をめぐり、生きものたちは「詩」と邂逅する―今世紀の詩の杣道を、群をぬく光速言語で切り拓いてきた詩才が、未知の詩行のピークへ、真正の自由を賭けて実践してゆく。新境地をあらわす、著者はじめての神話=ファンタジー詩篇!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
∃.狂茶党
6
こう言ったものを最初に読んだのは、『虚構船団』の三つめの部分だったと思う。 本書は複数の声で綴られているはずですが、どうにも一つの声って感じが否めない。 誰の言葉であるかを強調するスタイルが、作者の自信のなさを表しているのではないか。 なんだか悪口のようですが、読んでて面白い体験です。 一部引用 ”主格が何を演じるかによってぼくはなにを考えるのかをしる” ”キワまでいくのが怖いからという回答” 神話の試み? などと問いかけたら作者は赤面するだろう。 多分これは折り合いをつけることだ。 2022/10/22
Cell 44
4
あるコトバの流れとしてその存在を見せ、生きてあることができる存在があること、ここでエクリチュールはアニメーションの問題になるということ、けれどパ、パパ、パパパという響きは刻まれるよりその時々の耳もとの生起のようであること、また別に、私の口の中を流れるコトバの川の源流では無数のヒトヒトが唾を垂らしていたこと、だから「方法」や「技術」や、あるいは「構文」がクリティカルな「歴史」の問題なのだということ、とか、とか、とにかく私にとって大切な問題がほぼ書かれていて驚くとともに、何度も読み直さねばならない一冊となった2021/06/24
mascuma
1
P.108〈なかったことを思いだして/えぴすてーめーのすきまからぼくは/あふれでてしまう〉2021/09/05