出版社内容情報
光は高純度
あんなにぺらぺら折れながら
酸素もない場所を通ってくるのに
わたしは温かな生命活動を
まだ続けていくのが悲しかった
(「冬の太陽」)
見つめるものは見つめ返される―。受信体となり、詩人は知覚の縁へと果敢に歩んでゆく。注目の最新詩集。
暁方ミセイ[アケガタミセイ]
著・文・その他
目次
1 雲の目(巨眼;大宇宙雅楽 ほか)
2 宿願(秋の星;冬の太陽 ほか)
3 呪歩(正午までの希望;ホームタウンの草の匂い ほか)
4 風の肉(春風と瞼;梅林画報 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SIGERU
29
暁方ミセイの詩を読んで思った。言葉の反射作用のみで書かれた尖鋭な現代詩もわるくないが、やはり私は、現実を少しずらせて、未知未聞の世界へと変容させるタイプの詩が好みであることを。そういう言葉や物語を求めているのだということを。例えばこんな詩。「昨晩、雨は柔らかな闇に降りこめて 朝になるともう 濡れた秋草の国だ わたしが登戸へ行くために 待っていた 黄色の電車 その暗いゴムの匂いがする車中で 高圧鉄塔の言葉を感じる それをありのまま書きとめようか (リーヒ、ビリラ、イリ、リイ、イイ、)」。2022/04/26
うー(今年も遅くなります)
5
草の匂い、湿った空気を感じる2019/04/30
Cell 44
4
「ホームの先頭で/突然訪れた発想へ飛びこむひと/その瞬間に保存された/あかるすぎる視野を/死んだ生き物たちは過去の方向へ首を傾け/ときどき眺めては/飽きて眠る」(「空獣遊山」)これまで暁方ミセイの詩を読んでいてもっとも頭に近づいてくる詩人は宮沢賢治だったのだけれど、この詩集では蔵原伸二郎なども同じくらい私の脳に近づいてきた。2020/12/09
May
2
生暖かく、ほわほわした感じ。2017/11/29
もと坊
0
湿度ある美しさ。本当に葛藤が良く似合う。曖昧に曖昧になるが一つになれない。人間というものをひしひし感じる。2024/04/24
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