出版社内容情報
緑色地帯から
発光している
しがつの霊感の、稀薄な呼気だけを肺胞いっぱいに詰めて
そのまま一生沈黙したい
「表現に節度はあっても、無理はない。なだらかなことばの山並が、世界を徐々に確実に形成する。時は流れ、空がひろがるのだ。自意識と告白に浸食された現代の詩。そのなかでこの詩集の深みのある明るさは格別である」(毎日新聞)。第17回中原中也賞を受賞した第1詩集を装い新たに贈る。
暁方ミセイ[アケガタミセイ]
著・文・その他
内容説明
新しい抒情の在処を告げた鮮烈なデビュー詩集―第17回中原中也賞受賞作!
目次
萎れた花(世界葬;自明灯火;死なない朝 ほか)
怒り目(中国紀行;不如帰;叱咤、アジアの河岸 ほか)
回復(山と発熱;鷺沼プール;空き部屋 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SIGERU
28
「ウイルスが ひとをみんな食べてしまうんだと思った。ウイルス、きみたちには 再びと こんな歴史がやってきませんように。何千年、何万年、漂流しているしずかな殺意がわたしのベッドになる」(『埋め火』)。この詩句に、コロナによるパンデミックの予見までを読み取るのは、さすがに早計だろう。暁方ミセイの第一詩集『ウイルスちゃん』が刊行されたのは2011年。東日本震災の年だ。だからこれは、若き詩人の感性が捉えた、災厄すべてに向けた畏怖の感情を普遍化する、いわば象徴表現と解するのが正鵠を射ているように思える。2022/05/13
mm
26
東日本大震災の半年後に出た、ミセイさんの多分、初詩集。震災を思わせる作品もあり、心が震える。しかし、死や消滅への衝動や憧れを軽やかに、あるいは健やかに、浄らかに纏うことが可能なのは何故だろう。言葉への感性なのか?/さよなら、さよなら今日 その残骸からあしたも作るでしょう(不如帰より)/生まれておいで、あなたよ、生まれておいで(賢治プールより)/2021/03/13
Yusuke Oga
3
最高。最高。僕はウイルスちゃんを待っていたんだ、ずっと...。2019/01/03
葛
0
著者:暁方ミセイ 発行者:小田久郎 発行所:株式会社思潮社 印刷・製本:創栄図書印刷株式会社 発行日:2018年1月15日新装版第1刷 2011年10月15日初版第1刷 序文:井坂洋子、高貝弘也 装幀:カニエ・ナハ 定価:本体2200円+税2021/10/14
天来
0
おおが 読むことはみずみずしいことだ。読むことは生きることだ。読むことは死ぬことだ。みんな抱えてミセイさんは詩を書いた。ありがとう、ウイルスちゃん。2019/07/09