出版社内容情報
自己の余剰を消し去った廃墟で
ただその不在の構造を
消えていく過程を
一冊の書物にしたためる
私は対話を好む人間である。詩集もまた読者との対話のために編まれている。対話のきっかけは与えられた。ここから先はあなたが主導して問いかけをし、また自ら回答を考え出し、終わりなき対話を始めていくのだ。(あとがき)
広田修[ヒロタオサム]
著・文・その他
目次
探索
神話
空間の定義
樹木の定義
報告
未来
無題
秋
稲
静物
憎しみ
温泉
土
昇進
傷
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
27
本詩集『vary』は、二年前の詩集『zero』から変わる(自動詞的に)あるいは変える(他動詞的に)ものになったのだろうか。そのタイトルは何かに変わった後のものを差しているのではなく、例えば「zero」から「vary」へ移ろい繋げる、蝶番や裂け目そのものを差しているのではないだろうか。各々の詩の中にも重なりや対、「類義でも対義でもない斜な関係」といった、何らかの法則に則ったものとものとの間や裂け目(=「傷」)が、行間上の正統な主役になっている。2017/06/08
sk
9
自著。バリエーションに富んだ良い詩集に仕上がったはず。2017/06/04
岡部淳太郎
1
一読した印象は「正しい第二詩集だな」というもの。第一詩集には自分にも親しみのある詩も収められていて詩人の集大成という印象だったが、この第二詩集にはその後の歩みがきちんと現われている。また、散文詩が多いというスタイルで見えにくいかもしれないが、現代詩的な語彙と手法を駆使しながらも、その裏には詩人の人生が見え隠れしている。その生の道のりの行方が、個人的にはとても気になった。本当に真摯に詩に向き合っている詩人だと思う。2017/06/10
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- 和書
- ふとったのかなぁ