出版社内容情報
詩人さん、可哀相/時の流れに棹差して
輝く宇宙の微塵と消えちゃった/筋の運びに身を投じたなら
浮かぶ(物語の)瀬だってあっただろうに
(「蟻の歌」)
根底の問いかけと自在な実験性で日本の詩に深い切れ目を入れてきた著者が、「小説」なるものをキーワードに、言語の鮮烈な切断面をあらわにする。「小説」「詩人たちよ!」「イマジスト達の浴室」の3パートが鋭く交差する、四元康祐のあらたな挑戦。新詩集2冊同時刊行!
四元康祐[ヨツモトヤスヒロ]
著・文・その他
内容説明
心のなかから言葉が消えるとき、自分は自分の外へと滲み出す。詩と小説の距離は表現の方法だけにとどまらない。つねに実験的冒険作で読者を驚倒させてきた著者が、詩のかたちで問いかける、小説、詩、そして言葉と人間。
目次
1 小説(坂の上の雲;詩vs小説;小説メドレー ほか)
2 詩人たちよ!(蟻の歌;詩人たちよ!;推敲者 ほか)
3 イマジスト達の浴室(消言;キッチン;イマジスト達の浴室 ほか)
著者等紹介
四元康祐[ヨツモトヤスヒロ]
1959年生まれ。詩集に『世界中年会議』(山本健吉文学賞、駿河梅花文学賞)、『噤みの午後』(萩原朔太郎賞)、『日本語の虜囚』(鮎川信夫賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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風花
9
小説や詩を読むとき、脳はそれぞれ違う部分を使って読んでいるように感じていたけれど、この『小説』と題された詩集を読んで、まさに両方の脳を刺激されるような不思議な感覚をおぼえた。詩と小説、似て非なるこの二つの世界を四元さんは、詩によって見事に表現している。でははたして…小説で詩を表現することはできるだろうか? そんなことを、ふと思ったりした。 詩の美しさやリズム感と小説の楽しみを同時体験できる、とても素敵な詩集です。(いつもならここで、特に好きな詩を挙げるのだけれど、あまりに多すぎるので今回は割愛します。)2017/05/08