出版社内容情報
完熟して超えるうねりの中で露光する
光を開けないで水のページに呼び起こす
蒼穹の脈を劃って、
あらわれてくるから波が動き始めた
「生と死の重なり合う場所がもっている、永遠性に繋がることの悲しみ、寂しさが、遥かな距離をつくってざわめき続けている」
(中本道代)。
「この一冊にあるのは、「教える(独白する)=聞く」といった静かな1シーンを海岸線のように永く引き伸ばしている「時間の部屋」なのだ」(中尾太一)。
昨年の現代詩手帖賞詩人による、第1詩集。
板垣憲司[イタガキケンジ]
著・文・その他
目次
旅情
波動
夏の秤
落日の駅、水際で呼ぶ人
海峡
応答
離島の合図
風
踊る波
母島〔ほか〕
著者等紹介
板垣憲司[イタガキケンジ]
1947年5月、高知県宿毛市沖の島町母島に生まれる。新聞社を退職後、学生時代に情熱をそそいだ詩作を再開、2015年、第53回現代詩手帖賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sk
3
詩人の肖像が浮かび上がってくるような、雰囲気に満ちた詩集。2018/09/21
Cell 44
0
視覚的な配置、読点やブランク、括弧の使い方から、初見ではなにとなしに人間的な声を、情感を、峻拒するような作風かと思っていたのだが、紐解いてみると実際には風が声を攫い石や波の声に取り囲まれて身体がある状況のように、むしろ途切れながらも声は紡がれ、身体はなお残存してある、そのような空間の詩として読めた(そして、試しにとぎれとぎれに朗読してみると予想以上によく響いてくれる箇所が多くあるのだ)。ようやく読めたが、読めてよかった詩集だと思う。何度か読み返したい。2020/11/09