出版社内容情報
何処へ行くのだろう
会いたかったら沙漠においでとあのひとはいったのだ
闇の中を鳥になって飛んでゆく
渡された種を砂に埋める
どんな芽が出てどんな葉が伸びどんな花が咲いて
さて どんな実がみのるのだろうか
(「ゆきくれて」)
「万事にひかえ目な慎ましいタイプの女人だと思っていたら、いつどこで身につけたか、このしなやかなブラックユーモアに通じる不気味な表現世界は、まちがいなく中塚鞠子が長く詩を書くことによって身につけてきた生きるための癒しのエッセンスだ。〈往きはよいよい還りは怖い〉と言われればよけいに還りを経験したくなるように、中塚鞠子の穏やかな表現の裏にはたしかな魅惑に満ちた魔性が潜んでいる。読みすすめるほどにその魔性にこそ惹かれ、いとおしくなってくる」(倉橋健一)。生の方途をもとめて表現の力を手探りする、8年ぶりの新詩集。装画=あまのしげ
中塚 鞠子[ナカツカマリコ]
著・文・その他
目次
植生体系遺聞(誰も寝てはならぬ;初対面であるから;かくれんぼ;戦い;七草災 ほか)
失われた土地(崩壊から;辿り着く;雪の村;地中のソネット;脱出 ほか)
著者等紹介
中塚鞠子[ナカツカマリコ]
1939年岡山県北に生まれる。富山大学薬学部卒業。日本文藝家協会、日本現代詩人会、中原中也の会会員。総合雑誌「イリプス2」同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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