出版社内容情報
アナタヲ探シテイマス
それは夢 悪い夢
居場所がないおまえはうようよいる
うようよいるおまえは悪い夢の続きをみている
真夜中の路地をさまよい
影のようになってうずくまる
(「アキバへ」)
この世界に心地よいものなどなにもない/なにもありはしない――行きどまりの時代を生きなくてはならない者たちよ、詩を書くことで寄り添うことができるのなら、私はここに詩行を連ねよう、つぎの時代への希望として。五百行の書き下ろし詩篇「CQ I CQ」含む、新詩集。装幀=佐々木陽介
近藤 洋太[コンドウヨウタ]
著・文・その他
目次
動植物一切精霊
GONSHAN
再見考
魯迅故居
南羅鼓巷幻聴
アキバへ
「未来の子供」旅団
CQ I CQ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
経緯
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素材となっているものを取り出してみると、東日本大震災、白秋の詩「曼珠沙華」、中国関連が三つ(言語に関するもの二つと、魯迅についての一つ)、秋葉原無差別殺傷事件、未来世代について(科学への盲信?)、同性愛から考える若者世代の苦…というようなところ。現代社会を見つめるまなざしが感じられるものが多い。「「未来の子供」旅団」という詩はやや異色でファンタスティックな感じ。散文的だけれど、言葉や構成のリズムがあり、ところどころに散りばめられた刺さる言葉にインパクトがある。2017/06/28
経緯
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現代という時代に対する批評性みたいなものが滲んでいる作品が多いと思う。分かりやすく、親しみやすい表現。「GONSHAN」と「「未来の子供」旅団」の雰囲気が好きだった。ちょっと怖い。「再見考」とか「南羅鼓巷幻聴」などの言葉がテーマになっている作品はなんとなくユーモアがあった。2017/01/30
たんかともま
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現代と真摯に向き合おうとするも、もがき苦しんでいるような、完全には受け止めきれず前時代の物差しに頼らざる得ない悲哀を感じた。詩とも散文ともエッセイとも評論ともとれない文章は感情と理性とのせめぎあいのようだ。話す、聞く、思う、などの原初的な対人ツールを用いている印象。そのためか、講義終わりの先生との散歩のような、同じ目線に立とうとしてくれているような、それでいて自分以上に頑固に、かつ、理性的に問題と向き合ってくれているような、そんな作者の顔が浮かんできた。詩的な表現の部分は繰り返しと音に凝っている気がする。2018/11/07