内容説明
語りえない瞬きを賭けて、無量の思いを一滴に刻む。類のない詩の結実、24篇。
目次
川原
狂い栗
青木町書店
ナダロ
文通
壜
嘴
しろい占い
夏至
参拝〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
50
詩は声に出して初めて言葉になる。《グリーンサラダが怖い/グリーンサラダにやられる/いま知らない言葉に、食われるおまえは、誰だ》、ここに書かれているのは、詩の言葉が声の主を食べに来るという詩人の想像であり、不安と入り混じった期待がある。《鉄板が屋根にはられて/光はたちまち/鳥を落とす罠に変わる(略)/さびしさは頭ひとつ多い、から/墜落のなかで一羽だけ激しく/迎えにきてしまうのだ》、一羽の鳥が墜落しながら迎えにくる。鳥は男。嘴が工具のように光り、淡々と詩は生まれる。《夢見は裁き》だ。夜の言葉を明日、男に返す。2015/03/29
sk
6
とても自然な運びで整頓されて行きながらも、激しさがだんだん累積していき、いつの間にか大きな戦慄に包まれるという感銘深い詩集だった。多分私のよく知らない技術が巧妙に作用しているのだろうし、その技術は詩人の固有性に根差すのではないだろうか。2015/01/10
ぬ
3
「正しく裁こうとする者に/降伏する、幸福が、ありませんように」(「わたしの鬣」)。妙に端正である、かと思うと乱調している。食べることがあり、町があり、家族と死があって、追想じみた仕方で、他人の言葉が入り込んでくる。ぶつ切りにされる読点や半ばで切れる文も短文もあり、ただ終わりは丁寧に、「死にたえる顔まで、ここで見ている。」(「置物」)。2015/11/26
桜井夕也
2
暴発する殺意は薄まったが、それでも不穏な空気は静謐さの中。2015/01/18
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