内容説明
世界を驚かせた実験詩集。「単調な空間」から「プラスティック・ポエム」という極北まで、大胆な方法論が導いた北園克衛の実験詩集・戦後篇。
目次
夜の要素
死と蝙蝠傘の詩
黒い肖像
Ou une Solitude
影の空間
カバンの中の月夜
白いレトリック
曲線的なアルゴ
シガレットの秘密
DE SABLE〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スミス市松
16
まず図形と色彩があり、そこに等価である物体と感情が配置される。そして水平線に浮かぶ「の」の連続。分断と接続のリズムが心地よく、休符のような役割を果たす「の」によって来たる行に書かれるオブジェクトの詩情が際立っている。“言葉としての詩”であると同時に、“造形物としての詩”である(そして言うまでもなく音楽的でもある)。いつのまにか、絵画や工芸作品を観るときと同じような感覚で私は本書の詩篇を読んでいた。同時に買った戦前篇も良かったが、当時のハイブラウな雰囲気を削ぎ落して残ったこの骨子こそ、美しいと思った。2016/12/24
u
3
詩を読んだ感想を書くのが苦手で、というのも読むのは好きなんだけど、何かがわかるわけでもないし、わりとすぐに忘れてしまう。ので、いちばん記憶に残った一節を記しておきます。「白いカメラ/のなか/の白い孤独は/白い/孤独の白い孤独である」シンメトリックで、箱や図形のイメージと色彩が多い。率直な感想を述べると、お洒落。でも哀愁が漂う。冬枯れのカフェ、その窓際で頬杖をついているような。2017/10/30
保山ひャン
2
実験詩。右から左に読む縦書きの詩なのに、横書きかと見える単語の連なりで、次の行の単語(名詞だけでなく、助詞まで!)が出合い頭の驚きをもって飛び出してくる。フリッカーのような眩しい効果も感じた。2017/02/26
桜井夕也
1
一行に一字か二字の言葉の水平線が侵攻する。「星/その黒い憂愁/の骨/の薔薇//五月/の夜/は雨すら/黒い//壁/は壁のため/の影/にうつり//死/の/泡だつ円錐/の襞//その/湿つた孤独/の/黒い翼//あるひは/黒い爪/のある髭の偶像」2014/06/15
うさぎや
0
言葉が世界を切り取り、更新してゆく。2014/07/19
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