内容説明
09年5月に急逝した『性悪猫』『しんきらり』の著者、やまだ紫が最後にたどりついた新境地。唯一の詩画集『樹のうえで猫がみている』に、雑誌連載の詩と絵、書き下ろしを含む32篇を新たに収録する決定版。
目次
樹のうえで猫がみている(どんなに淋しかったか;いれもの1;薄明 ほか)
*(丸虫;陽炎;月みてないた ほか)
見上げれば虹(花のひと;シンデレラ;春の水 ほか)
著者等紹介
やまだ紫[ヤマダムラサキ]
1948年9月東京都世田谷区に生まれる。1969年「COM」5月号にてデビュー。その後、結婚育児による休筆ののち1978年に復帰。作品の数々は、女性漫画と称され、その後の女性たちに大きな影響を与えた。漫画、詩、エッセイの多方面で活躍。2009年5月歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぐうぐう
27
『性悪猫』は、猫の目線ゆえに人の日常が詩情となって救われていく様が描かれていた。彼女の唯一の詩画集である本書を読み終えると、その猫の視線が、やまだ紫のものであったことに改めて気付かされる。『シャツの重さ』と題された作品。「真白な木綿の肌着が丸まってある (こんなところで脱いで——)とつまんだら自分のだった つまみあげた肌着の重さで持主がわかる わたしはもう 家の中で一番小さくなってしまった 肌着まで エレベーターの中で娘が「ママ小さい……」と言った わたしを見下している その哀しい嬉しさ」(つづく)2020/04/29
柊子
11
「通販生活」で初めて読んだやまだ紫さん。猫のイラストが可愛い。「つまみ上げた肌着の重さで持ち主がわかる。わたしはもう家の中で一番小さくなってしまった(シャツの重さ)」これはとてもよく判る。子供の成長と自分の老い(苦笑2017/01/17
mer
9
繊細な目をしているんだなと思った。見ないようにしている物事をあえてじっと見つめて静かに傷ついているような詩が多いように感じた。2021/01/29
雛
5
「しんきらり」のやまだ紫さん、亡くなっていたのか。 詩と絵からなるこの本もとても彼女らしい作品だ。 猫。子ども。男。小さな不幸せ。 長生きしてもっと色々な言葉を紡ぎだしてほしかった、残念だ。2015/03/24
yumiha
5
日常の中にひそむ違和感や発見などを書いた詩集。添えられた絵が、さすが漫画家だけあって、確かな線で猫を描く。2013/11/15