内容説明
されば、私は学校帰りに月までとばなくてはならない。十代の身体の痛々しいまでの揺らぎを、ことばの色彩で柔らかにうつしとる。16歳で現代詩手帖賞を受賞した詩人が紡ぎあげる、鮮やかな流れ―待望の第1詩集。
目次
落花水(落花水;戯び ほか)
適切な世界の適切ならざる私(天井観測;私は、なる ほか)
私は“すべて”を覚えている(うしなったつま先;洗濯日和 ほか)
産声を生む(健康診断の日;“幼い”という病 ほか)
雨に濡れて、蜜をそそぐ(金魚;黄身を抱く ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
98
文机で怯える詩人。その華奢な指先に列をなす言霊たち。 砂糖菓子に群がる蟻のように。 糸を絡め操ろう。 さすればもう君は虚空で踊るマリオネットだ。 ペン先に其処此処から律動が吐き出されて。 文字が点滅し手帖を焦がす。 色とりどりに。 秘められた筆圧が過去の慣用を踏みつけ轢き殺す。 賢者が頁を捲る。 零れだす十代のうた。 初々しい奏でだね。 ☆5.0 第15回中原中也賞受賞。 2021/03/12
fwhd8325
57
文月さんのデビュー作。詩人が語る言葉は刃のように鋭く突き刺さるようです。それでも、その言葉の一つ一つがどれくらい私の中に這入っているのか不安になる。どこか遠い国の言葉のように、通り過ぎてしまうような感覚もある。理解なんかしなくてもいい、その言葉を受け止めて、痛いと感じるだけでも充分なのだと思う。2018/03/01
深田水松
32
最年少中原中也賞受賞詩人による第一詩集で、初版は2009年です。遅ればせながら、読了しました。「音楽室」「理科室」「保健室」「美術室」という空間のモチーフを用いながら、少女の日常を詩によって非日常化しています。懐かしい感じがしました。最後の「ロンド」という詩も印象に残りました。今、少女の方、そうでない方にもおすすめの詩集です。2016/02/06
きさき
17
★★★☆☆:詩集。若さ、女性の身体が主なテーマ。2018/06/15
RYOyan
16
なんだろう、この周りとの違和感を抱えながら生きていく着心地なさ。思春期の中にいた私を思い起こさせる自意識過剰な懐かしさにハッとさせられた。2016/01/26
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