内容説明
はるかな青天のその向こうに薄紫の花が一面に咲いているという。ただ青天の向こうがわにのみ。生きることとはいとしいものの骸を抱えること―。ここに至ってこの詩人は自らの“女”性をこの一点に集中した。もの言わぬものらとの共生。
目次
形象(鳥のいる風景;水のあふれる風景;青いガラスの床の上で;狭い階段;階段をあがると;深海魚;形象;揺れて、のち、;言語野;蛙な男と亀な女;アンブレラ;風のスパイ;生誕;傘)
憧憬(山から来たの;大麦の実るころ;夏の屋根の上の 草;黒点;青く蒼い湖の瞳で;屋根。黒い屋根。;秋;しまい込まれた幼年期;球体;憧憬―花;陽はさんさんと降りそそぎ)