内容説明
北園克衛の後を引き継ぐ「詩の純粋形式への限りない探索」が、止むことなく続けられ、過剰な文学的“意味”によって遮断されてしまっていた詩の可能性が、新たに浮かび上ってくるヴィジュアルポエット。
目次
穴の風景
雨のフロッタージュ
青の/反射光
蝶
稲妻
超類
否■をめぐる言羽
無(本)二
は(な)し
泣いている鬼〔ほか〕
著者等紹介
高橋昭八郎[タカハシショウハチロウ]
1933年、岩手県北上市生まれ。1957年、北園克衛を中心とするVOUクラブへ参加。「VOU」55号から1978年の終刊160号まで、詩・写真のほか、「ブロック・ポエム」「環境の回路」など立体詩の試みを展開。個展、VOU形象展をはじめ、各国のヴィジュアル・ポエトリィ展・国際展へ出品。1979年詩誌「gui」会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
48
――が引かれ、《これは、影である。ページの広がりに垂直に立つ、見えない直線の。》とある。この本を読んでいるとむやみに字を丁寧に読みたくなる。見えないものはしょせん見えないのだが、線や余白まで何かを見るために在るようで、一つ一つ立ち止まりたくなる。なのに言葉数が少ないため、意に反してどんどん読めてしまう。活字の亀裂から聞こえる「創造の軋み」音に呼ばれている気がしつつ、主客渾然たる疾走感に身を任せる…いわば地下水に運ばれていくような感覚の中、いつしか見えないものを見るのではなく、耳をすまして聞こうとしている。2016/08/20
gu
6
真っ白なページや、たった一文字が記されたページをふんだんに使うこの贅沢さが詩集を読む楽しみだと思った。文字が文脈から抜け出して視覚的な記号として新たに生まれ直している。それは単にタイポグラフィということではなくて、見た目は普通の詩と変わらない作品にしても「雨がふり」「消してみる」といったフレーズが反復されることでそれらの言葉が独自の命を持って文字列を泳いでいるような、そして作品を構成するその他の言葉たちも意味を変えていくような感覚を覚えた。2022/12/04
gu
6
新奇さや難解さよりも、可笑しさと爽やかな感動が先に来るから不思議だ。青と白で構成された本という印象。ページの空白と水、風、空のイメージのせいでそう感じただけだろうけど。2016/06/23
サイと
4
詩の勉強をするためにやなせたかしさんの『だれでも詩人になれる本』を読み、詩は勉強するな、と習った。それじゃダメだと思ったので、詩の勉強をしたいと教授に相談したら渡された本がこれ。もうダメだね、詩なんてやるもんじゃない。2013/12/05
warimachi
2
視覚詩っていうとなんだか実験的なイメージがあるけど、「百目木」などを読むと意外なまでの瑞々しい感受性に感心してしまった。2009/07/07
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- 朝の霧