内容説明
表題作ほか「女の戦い」「老いるとはロマンチックなことなのか」など、八十代にさしかかった著者が、老いを瑞々しく描く代表作、復刊!老いに向き合う現代へのメッセージ。
目次
第1章 あけがたにくる人よ(あけがたにくる人よ;古い狐のうた;小さい水車のように;その家を好きだった ほか)
第2章 女の戦い(唇の釘;八月の願い;夜ふけて風呂に;雨雲ふかく ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SIGERU
15
一読、粛然とした。これが80歳を超える人の詩境かと思うと、読んでいる自分まで、背すじがぴんとのびる心地がする。第一部の『あけがたにくる人よ』『ピーター』等は、想い出を詠って、甘美と痛みとをこもごも遺す。かつての日の禍根に充ちた『紫パンジー』『お茶の水』も、心に沁みる佳品。対蹠的に、第二部『女の戦い』は凄まじい。そこに剔抉された夫との軋轢はきわめて生々しく、そのまま書けば、暴露的な私小説にもなりかねない危うさだ。だが、凛とした詩のことばが、流れる詩情の凛冽さが、どろどろの低廻の淵から作品世界を救っている。2021/03/23
きたむ
3
この前、岡山県の永瀬清子さんの生家で行われた詩の朗読会に参加したことはあったが、県民なのにまだ詩を読んだことがなかった。それで、借りて読んでみた。戦争の影を感じる詩が多かったように思った。 「女の戦い」という詩が、まさに身を削るような詩でインパクトがあった。 図書館本で巻末に資料集がホッチキスでとめられていたけど、吉本隆明さんが、「女性の生活感を時代のあり方と重ねて表現した。主体的に生きる女性を応援し、勇気づける詩を書いた。」と表現されてて、そうだなと思った。2014/09/03
shou
2
八十を超えての詩集。数多い若き青春の詩人とは違う、降り積もるものと同時に遠くはない行く先を眺めている視点を新鮮に感じた。おそらくその年代に辿りついてから読むと、また違った感慨があるのだろう。 「私は今はもう本当のひとりになったのだから/私はいつでも自由にはばたけるのに/なぜかふしぎにあなたがすぐそばにいるみたい」2019/11/08
keico
2
『きよこのくら』という短編映画をみる機械がありました。どれもじわりと心にきます。2019/01/17
チェリ
2
「昔の家」「苔について」「私が豆の煮方を」が特に気に入った。いま一番好きな詩人。2013/03/23
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