内容説明
獣のようにあいすることから逃れられない―。憎しみとまがうほどの祈り、怒りとまがうまでのやさしさ。あつく、矛盾した生の極限であぶり出されることばと情念の脈動。
目次
光の塔
笑う
ジュウジキリ
坊主
身頃
皿
袖口の動物
他人の手鏡
航空写真
或る(声)の外出〔ほか〕
著者等紹介
杉本真維子[スギモトマイコ]
1973年、長野市生まれ。2002年に第40回現代詩手帖賞受賞。詩論、文芸批評、エッセイなども執筆。第一詩集『点火期』(思潮社、2003年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夜間飛行
48
《指先を切ったあなたの顔のまえで/血のように出会う》…同じ詩の前の方に《ころされるための順番を待っていた/にんげんは言葉を持たない》という表現がある。言葉を持たないからこそ血のように出会うのではないか。私の息子は言葉を話せない。そのせいか、意味の通じない詩の中にある沈黙が身にしみる。わからなくても声に出せば、その沈黙が伝わるのである。「声」こそ詩の命だ。詩を、わかりづらいという理由だけで忌み嫌う傾向は私にもあるし、その気持は真っ当でもあろう。けれども、わからない=つまらないではない。単純に詩を楽しみたい。2015/04/03
Roy
20
★★★★+ 自己と他者との関係にきっちりと線を引き、他者もしくは他者との関係は、自分が望まなくともいつか失ってしまうということを常に視野に入れ受け入れているのだと思う。だから逆に言うと失う事を恐れないので、生きることに正直。文末が現在形の動詞(笑う・すすむ・たたむ・噛む・死ぬなど)で終わる詩も多くあるのが印象的で、それらの動詞は普段から頻繁に使う言葉であるのだけれども、その動詞一つに一篇の詩の言葉全てが伸し掛かる気がしてきて、なんかとても重く感じる。2009/05/08
君吉
5
『点火期』でも感じたけど一瞬の優しい残虐性のようなイメージが素晴らしく、行換えのリズムもとても好き。「ああ」とか「ぬあああ」とかいう整理しないことから発揮されるような生々しい声のタイミングが巧みで、「果て」、「ある冬」などが特に好き。2010/12/03
oz
4
「光は波のように寄せ/あの塔がなんども現れてくる/そこは/様々な体温が甘く蒸れ/いつかだれかの甘い舌に溶けたが/指先を切ったあなたの顔の前で/血のように出会う」(「光の塔」一部)2009/08/08
sk
3
文体の強度がモチーフの訴求力を広げている。2019/12/25
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