内容説明
「自分のルーツの二つの不可解さである、父の事と郷里の事柄に意識がむいたために、都市をめぐる抒情の方向での詩作がなかなかまとめられずにいた」(あとがき)という詩人は、永い熟成期間を経て、ようやく前作『シャーロック・ホームズという名のお店』の続編とも言うべき一冊をまとめる。時と季節の移りゆきのなかに鮮やかな抒情の瞬間を切り取る新詩集。
目次
歌と仕事
春の都会の夜の空は流れて
雨の眼鏡
空のしたの季節は出発点となるかどうかわからない
都市の海と砂漠の信号機をこえて
手紙
かわいた春の街を歩こうとすると
手帳のなかの記号は現在をしめす
初夏は都市の物語を語ろうとするが
一枚のカレンダーをはりかえるには〔ほか〕